メイクした顔とすっぴんのはざまで




日中の外気、
そして”メイク落とし”の
摩擦に耐えた素肌へ、


「ぱんぱんっ」と、
化粧水をはたく。


鏡を見ると
何の偽りもない
自分の顔がうつる。

  



「今日も1日お疲れ様。」









私は自分の”すっぴん”が好きだ。

決してすっぴんに
自信があるわけではない。

目の左右のバランスも違うし、
肌のキメも均一ではない。

コンプレスックスも存在する顔だが、
私は自分の”すっぴん”が好きなのだ。







メイクはすごい。

メイクをすると
目の大きさが変わる、
肌のキメも整う。

鼻筋だって通すことができるし、
時と場合によって
凛々しくも可愛くも演出できる。

メイクは私を
「戦闘モード」にしてくれる。

1日中、
外で頑張る顔に自信をつけてくれる。



そんな素晴らしいメイクなのに
私は”自分のすっぴんが好き”と言う。

それは”戦闘モード”で居なくて
済むからだろうか。

自分を誇大して見せなくて
済むからだろうか。

ありのままの自分に
戻れるからだろうか。







自分のすっぴんが好きと言っても
外出するときにメイクをしていないと
なかなか自分を好きでいられない、
自信もなくなる。


友人と会うとき
仕事のとき
デートのとき


これらの”とき”に
メイクをしていないと
自信がなくなるし、
自分を好きでいられなくなる。
変な感じもする。 


家では
すっぴんの自分が好きなのに。


一体、どこでその違和感を
覚えてきたのだろうか?

高校を出て、大学に進み
毎日メイクをし始めるように
なってからだろうか。

毎日の習慣は、
その習慣が当たり前になると、
習慣になる前の状態に対して
違和感を与える。

私が覚えた違和感はきっと、
その習慣のせいだろう。







私はメイクをすることの
良さを知ってしまった。

と同時に、
すっぴんの良さも知ってしまった。

「元からある良さ」
に気づくのは奇しくも、
「何かを付け足されたあと」
だったりするものなのだ。








私は、自分のすっぴんが好きでいながら
今日もメイクをする。



身につけた習慣に諭されるように
今日もまたメイクを。






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