ピュレグミを食べればまた恋が始まる気がする



「恋ができるって元気な証ですからね」


私は、夢の中で恋をした男性に
そう言っていた。

恋をしたのは私じゃなくて
登場人物の男性、
その人を励ますように言っていた。



「恋」ときくと甘酸っぱくて、
純粋なイメージが膨らむ。


私が恋をお菓子で例えるなら

「ピュレグミ」だ。

その中でも「レモン味」

口の中がキュッと
すっぱくなるかと思ったら
隠れた甘さが押し寄せてくる。

恋をしたときの
胸が締め付けられる思いと、
人を想うあたたかな気持ちが
どこか似てるように思うのだ。


そんなピュレグミの味(恋)を
思い出すのが簡単だったかというと
そうではない。


思い出の奥にあって、
今はもうすっかりボヤけた記憶を
よいしょ、と引っ張り出してきたのだ。

あの頃食べていたピュレグミは
とても美味しく感じた、

 酸味も甘味も。




しかし今の私が
ピュレグミを食べたらどうだろうか?

ピュレグミの
ファンタジー的な酸味と甘味を
カラダが受けつけない気がする。



私はいつの間にか
ピュレグミの酸味と甘味より、

人生の現実的な”酸いも甘いも”を
求めるようになったのかもしれない。




「いかんいかん。
24歳だぞわたし。

まだまだだぞ、わたし。」


この文章を打って
危機感という苦味を感じたわたしは

「どれ、久しぶりに
ピュレグミを食べてみようか」と思った。



ずいぶんとご無沙汰している
ピュレグミ。



ピュレグミを咀嚼するまでに

時間がかかるだろうか、
それともすんなりいくだろうか、

まだ買ってもいないのに
期待と不安がふくらむ。



一度にピュレグミを
全部食べなくてもいい。

いや、一度に食べきれる人は
よっぽど健やかで、
ピュレグミが好きなのだろう。




わたしの場合、
たった1ピース、一口でも食べれば
また味がよみがえると思うのだ。

遠く、思い出の奥にあった
あの味と記憶が。


そしてきっとまた、
何かが始まると思うのだ。





忘れかけていた何かが。




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